初めて教会を訪れる方へ
■ 信者でなくても行っていい?
多くの教会が公言しているとおり、「どなたでも自由にお越しください」が原則。中には観光スポットになるほど有名で、入場が制限されている教会もあるが、本来は誰でも行っていい場所。
週の初めの日曜日に行われる礼拝(ミサ)に参加する際も、信仰の有無が問われることはない。「聖書を勉強したい」「賛美歌を聞きたい」「お祈りしたい」「聖なる空間で癒されたい」「雰囲気を味わってみたい」「教会建築に興味がある」など、動機は何でも大歓迎。たとえキリスト教を信じるつもりがなくても興味関心があるなら、近くに教会がないか探してみよう。
■ 礼拝って何をする?
礼拝では、主に賛美歌(聖歌)を数曲歌い、お祈り(祈祷)し、聖書を読み、講壇から牧師や神父がメッセージ(「説教」と呼ばれます)を語り、献金(教会の運営費として使われる収入源)を集め、祝祷で終わるというのが一般的。特別な日にはパンとぶどう酒(液)を分け合う聖餐式、洗礼式などの儀礼が行われる。それぞれの意味づけや頻度、具体的な方法、所作などは教派、教会によってさまざま。
■ 礼拝はいつ行われる?
メインの礼拝は日曜日の午前9時~正午の間で行われ、全体の時間は1時間~1時間半が一般的。特にプロテスタント教会の場合、説教に重きを置くため、牧師によっては1時間以上話すこともあり、その長さによって全体の時間も変わってくる。対して、カトリックの神父のお話は10~15分が多い。なお、メインの礼拝のほかに夕方の「夕礼拝(夕拝)」や早朝の「早天祈祷会」などを行う教会もある。
■ 礼拝での服装は?
規律に厳しい教会では、「神のみ前に出る」という意味あいから、襟のついたシャツやスーツといった正装を推奨する習慣も残っているが、常識の範囲内(節度ある服装)であれば特に問題はない。
■ 礼拝での持ち物は?
基本的に手ぶらでも可。聖書や賛美歌を持っていなくても、初めての人には備え付けのものを貸し出している教会や、前方のスクリーンに掲示する教会もある。教会によって使用する聖書(訳の異なるものが数種類ある)、賛美歌(かなりの種類があり教会独自で賛美歌集を作っている場合などもある)が違うので、購入する場合はよく確認してからにしよう。
献金も、初めての人は「教会ってお金を取られるの?」と戸惑うかもしれないが、丁寧な教会は「ご用意のない方は結構です」という説明をしており、決して強制ではない。教会に属する信者でない場合、ささげるかどうかは個々人に任されている。集め方は専用の袋に入れて、当番の信者が回収する場合や、直接現金をかごに入れていく場合などさまざま。もしやり過ごすのは気が引けるという場合は、硬貨やお札(数百円~1000円が相場)を用意してささげよう。カトリックでは、備えつけの献金箱へ礼拝の前後に各自で入れるのが一般的。
■ 礼拝で信者以外が注意すべき点は?
携帯電話の電源を切るほか、許可のない写真撮影、談笑、飲食、喫煙は控えた方がよい。
会衆一同で立つ・座るなどのほか、信者以外がしなければならない特別な所作はない。十字を切る、手を合わせ目を閉じて祈る、「アーメン」と唱和するなどの行為はしなくてもいいし、信者と同じように「見よう見まね」でも問題ない。
ただ、聖餐式(「聖体礼儀」「聖体拝領」「聖晩餐」「主の晩餐」とも。イエス・キリストが「最後の晩餐」で、自身の「体」と「血」による契約として、弟子たちにパンとぶどう酒を与えたことを記念して行われる儀式。教会によって毎週または月1回~年数回行われている)は、「洗礼を受けた人のみ」と限定している教会がほとんどなので、間違って受け取ることがないようにしたい。カトリックなどは、信者以外も聖餐の代わりに「祝福」を受けることができる教派があるので、教会側の指示を仰ごう。
■ 初めて行く時の注意点
多くのプロテスタント教会では、入口の受付で初めて来た人が名前や連絡先を書くようお願いされる。これは、後々、教会の案内や集会のお知らせを送るためのもので、そうした情報が不要であれば断ってもかまわない。
また、礼拝の最中や終了後に、全員の前で紹介され、歓迎の拍手を浴びることもある。「初めての人も温かく迎えますよ」という教会の意思表示だが、同様に紹介されることを希望しない場合は、その旨をあらかじめ伝えておくようにしよう。
■ 礼拝以外の時間に見学できる?
礼拝以外の時間に見学できるかどうかは教会によってさまざま。プロテスタント教会のなかには、日曜日以外には開いていない教会もある。規模の大きい教会の場合は、専属のスタッフが常駐しており、来訪者に対応してくれる場合もある。教会が信者にとっては大切な祈りの場であることを踏まえ、あらかじめ可否を確認の上、マナーを守って見学しよう。
(参照:『キリスト教のリアル』『もっと教会を行きやすくする本』『日本の最も美しい教会』)